第四回文学フリマ大阪(レポート)
恒例となりつつありますイベントレポート、今回は第四回文学フリマ大阪の分です。
参加した二人(人見広介、シワ)に寄せてもらいましたので、例によって公開いたします。
2016年9月18日、日曜日
『第四回文学フリマ大阪』参加のため、サークル入場となる10時半ごろの到着を心掛けて早めに出発する。
大阪での開催ということもあり、当日の朝にゆるゆる出発しても十分に間に合う。そう思いながら参加した過去数回は、渋滞に巻き込まれたせいで遅刻したことが何度かあったので、余裕を持って出発を早めた。幸い渋滞には幸い巻き込まれなかった。が、代わりに道を間違うという痛恨のミスを犯す。前にも道を間違えたが、二年ぶりなのでしかたない。
もっとも余裕を持って出発したおかげで、サークル入場までには現場に到着できた。大箱を抱えて入場。
10時過ぎにやってきた売り子とも合流して設営を開始する。(島の真ん中なので)机の下を通路側と内側を何度もくぐっての作業だ。これまでよりサークル数が増えたためか以前より机の合間が狭まった気がする。それともお腹が出ただけか。
5月の東京文フリでの配置がしっくり来ていたので、それを再現するように設営しているさなか、一部の冊子の部数が見込みより足りないのではないかとの疑いが発生。数えてみると確かに少し心もとないかもしれない。
在庫管理は私の担当だ。車を飛ばせば昼過ぎには会場に戻って来られる。「ちょっと取ってくる!」と鍵をひっつかみ行動開始。大阪開催の場合、こういうところは楽でいいなと思う。
12時過ぎに会場へ舞い戻る。最終的に冊子は当初の持込みよりも売れたので、取りに行って良かったと胸をなでおろした。
会場で足を止めてくださる方がいる度に嬉しくなってにこにこ顔。
売り子と蒸奇都市倶楽部の世界観の軍事、歴史、政治の話を飛び飛びしながら、今後の作品展開や展望についてやり取りする。海外勢力の暗躍や戦記物、軍事スリラー的な作品も書きたいと思っているので、執筆意欲がみなぎる楽しい時間となった。
メンバーと時間をずらして見て回る。
売り子に教えられていた、同じスチームパンクもの(+サイバーパンク)を書かれているというサークルさんへ真っ先に向かう。そのあともいくつかの本を入手。今回はミステリものばかり。
会場では大学時代に所属していたサークルの後輩たちが独自にサークルを立ち上げて参加しているのに遭遇。学内で見かけた顔もあったりして懐かしい気分に。
今回は(設営から再合流まで数時間ほどいなかったせいか)あっという間に終わってしまったなと思う。5月の東京は一人での参加であったが、今回は二人ということもあって非常に楽しいイベント時間でありました。
新刊がないか見にきてくださった方、初めての来訪でご購入くださった方もたくさんいて、非常に充実した時間を味わえました。
お越しいただいた皆様に改めて感謝を申し上げます。
(文責:人見広介)
イベント関係七割その他三割くらいの要領を得ない長ったらしい内容ですので、最初に雑感とその他関係のある事柄だけ並べておきます。さっと読むならここだけでいいんじゃないでしょうか。
◆雑感
朝から晩まで降ったり止んだりの天気でありましたが、蒸奇に限って言えば客足に雨の影響はほとんど見られませんでした。そのため冊子の捌け具合も従前からの水準通りです。
訪れる人になんと話していいのかはいつも迷います。多分これからも迷い続けるでしょう。
冊子を手に取っている間に話しかけられても困るでしょうから、その間はじろじろ見ないようにしています。
なにか言葉を交わせたらな、との思いはいつも胸にあるのですが難しいものですね。思い返せば「(冊子を)読んでもし気に入ってもらえましたら、次も来てくださいね」ぐらいしか言っていません。お金をやり取りする際とかに、もう少し気の利いたことが言えるように努力します。
もし作品を読んで気に入っていただけて、二度目以降の訪問をされる方は、こちらに感想を伝えてくださるとすごく嬉しくなりますよ。作品についての突っ込んだお話とか、スチームパンクについてとかも大歓迎です。また機会ありましたら、ぜひにお願いします。(こちらの学の浅さも露呈しそうで怖いですが。)
◆頒布具合
の話を書こうとするといつも広報主幹に止められます(今回も止められました)ので、視点を変えて人数の話をします。(具体的な数を書くと合計額がわかってしまいますから、税務署対策でしょう。というのは冗談ですが、お金は繊細な部分ですから仕方ないのですけれどもね。)
蒸奇のブースでは、開場後直後から昼過ぎぐらいまでに最も人が訪れる傾向があります。これは蒸奇が最初に出展したときから変わっていません。
他サークル様の傾向は存じ上げませんが、過去の打ち上げなどでうかがった範囲ですと、やはり開場直後にいちばん人が来るところが多いようです。開場直後に訪れてくださるのは、固定の方か、期待してくれている方なのかな、と推測しています。
具体的な数で申せば、今回は11時から12時までの間に7人、12時から13時までの間に14人がいずれかの冊子をお求めになられました。13時以降では5人を上回らず、最終的に33人の手元に蒸気の本が渡ったことになります。上でも書きましたが、他のイベントと同じぐらいの方に手に取ってもらえましたので、雨の影響はなかったとみています。(ここでいう訪問者数は、冊子を求めてくださった方の数です。)
また文学フリマにおける蒸奇と宣伝の関係についてですが、頒布数と事前告知の頻度との相関はあまりないようです。広報主幹が多忙なため事前の告知は最低限(WebカタログとブログをTwitterで流すだけ)でありましたが、頒布数は大きく変動していませんので、そう考えている次第です。現地で配るペーパーやチラシも、予算圧縮の関係で今回は用意しませんでした。
しかし今回は既刊ばかりとはいえ、大阪では初頒布の冊子もありました。毎回同じ条件で頒布しているわけではありませんから、関連づけていいのかどうかはまだまだ不明です。
今後も集計を継続して、情報の蓄積と分析を図っていきます。
◆『言伝は時計にのせて』
ところですでに広報主幹がTwitterで速報し、ブログで報告していますが(このあとの本文中にも書いています)、『言伝は時計にのせて』が完全に捌けました。
在庫がなくなるのは『蒸奇都市倶楽部報』の第一巻と第二巻以来です。『言伝~』初出は2014年11月23日の『COMITIA110』ですから、1年10カ月ほどでさばききったことになりますね。発行部数がいくらなのかは聞き及んでいないのですが、わりに速いペースなんじゃないかと思っています。
『言伝~』はあちこちで感想をいただいていましたし、広報主幹が言うには最初の取っ掛かりとしてお勧めしやすいというので一時期は増刷も検討したのですが、在庫管理と補完場所の関係から見送りとなりました。
よほどの反響と希望の声がない限り、今後は初版の売り切りでやっていくんじゃないでしょうか。
今後しばらくは『手向けの花は路地裏に』が、お勧めとして推されていくことになろうと思われます。
在庫といえば、『地底の大機関』は増版していますので、まだ結構残っているようです。『蒸奇画報』も多く刷ったと聞いていますので、多く残っています。そういえばこの二冊(『地底』第二版、『画報』)は二年前の『第二回文学フリマ大阪』が初出でした。
◆気になるボタン
テキレボの時と同じことを書きますが、「気になる」ボタンは素直に信じていいようです。しかしどの冊子について押されたのかはわからないので、冊子ごとの持ち込みはやはり見極めが必要になってきますね。
今回このボタン数に応じた持ち込みについてもちょっとした話がありまして、それは本文で触れています。
◆総括
新刊がなかったという点を差し引いても、頒布数はよかったと思います。
とはいえイベントが終われば頒布数よりも、冊子を手にした方がどれだけ楽しめるかが重要になってきます。
『手向け~』は分厚い本ですが、ページをめくる手が止まらない状態になってくれることを願っています。
あなたの手に委ねられた蒸奇の冊子はあなたのものです。どうか心行くまでお好きに扱ってください。
もちろん楽しい作品を送り出せるよう、蒸奇は今後も研鑽して参りますし、そうさせます。
まあ、売り子の戯言なんですが。
※以下は一日の流れに沿ったレポートです。だらだら綴っているので、興味がある人だけ読んでください。
◆高架工事は大事業
(※イベントと関係ない部分。この項目は文学フリマの「ぶ」の字もありません)
早朝時点での雨足がかなり激しい大阪。一日屋内にいるのでなければお出かけを避けたいぐらいの降り具合です。
が、僕は会場到着を10時と見込んだ場合の出発時刻より3時間ほど早く宿を出ました。雨で列車の運転見合わせを織りこんだからではありません。遠出にあたって見ておきたい箇所がいくつかあったからです。
というわけで今般、阪急の淡路駅高架化工事(『阪急電鉄京都線・千里線連続立体交差事』)と、南海の高架化工事(『南海本線連続立体交差事業(堺市)』『南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業』)の進行具合を確認すべく、篠突く雨のなか出発です。
最初に足を運ぶ淡路駅は路線がX字に交差する駅なので、一度の通過で全ての現場を確認できません。そこで梅田から阪急京都線で京都方面へ向けて乗り、次に淡路まで折り返してから千里線で千里方面へ向かいます。最後に天神橋筋六丁目(天六)方面へ抜けながら状況をつぶさに観察し、目に焼きつけます。
一部の線路は仮線に置き換えられていました。分厚い橋脚も以前の訪問時よりも増えています。
久しぶりに足を運んだ印象で言いますと、かなり工事が進んでいるように見えるのですが、実際には事業用地の取得に遅れが出ているとのことで、昨年の10月に事業主体である大阪市より計画延期の発表がありました。
大阪市の発表によりますと、線路の高架切替が「2017年度末から2024年度末」へ、事業の完成が「2020年度末から2027年度末」にそれぞれ延期されるとのことです。
そもそもこの都市計画事業の認可が平成9年1月24日ですから、動きだしてからすでに19年。事業計画も含めると20年以上前です。品川~名古屋間のリニアが完成するころに高架事業が終わると考えれば、その時間的長さが感覚的につかめるでしょうか。都市部の立体交差事業は非常に年数がかかる工事でして、10年の遅れは珍しいものではありません。(関東ですと、大詰めを迎えている小田急電鉄の複々線工事、地下化工事も区間によって違いはあるものの、ゆうに10年以上はやっていますね。)
淡路駅の高架化工事は、一部の工区で直上高架方式が採用されるので今後も目が離せません。
天六からそのまま堺筋線を乗り通して終点の天下茶屋へ。
天下茶屋は秀吉由来の地名ですね。仇討ちの場所でもあります。東の高田馬場に西の天下茶屋(と実際に言うのかどうかはしりませんが)。もっとも仇討ちの有名どころ、富士の裾野、吉良邸、鍵屋の辻には敵わないかもしれません。
天下茶屋で南海本線に乗り換えて南下します。堺市の浜寺公園駅から数駅が南海本線で高架化工事を行っている箇所です。浜寺公園駅は私鉄最古の駅舎とされており、また辰野金吾の設計としても知られています。この駅舎は高架化後も保存活用されますので、近くに立ち寄った際には足を運んでみるといいかもしれません。
浜寺公園は天王寺と恵美須町まで阪堺電車も通じていますので、往復の行程にも変化をつけられますよ。ちなみに最古つながりでいえば、浜寺公園は最古の公立公園だそうです。今ネットで見るまで知りませんでした。
仮駅舎に切り替えられた浜寺公園駅は、周辺には囲いが立つなどして工事が進められています。浜寺公園駅を出てすぐに高石市に入ります。市境を超えると下り線は高架を駆け上がり羽衣駅へ。そのまま高石駅を経て、泉大津市にある北助松駅の手前で再び地上へ降ります。この下り線は去る5月14日に完成したもので、工事は続いて下り線の仮線撤去、上り高架線の建設へと移っていきます。現行の上り線は仮線のままで、こちらは前に見たままでした。
堺市と高石市の高架化工事は市境を境に差がありますが、これは立体交差事業の多くは当該区間の自治体が事業主体となる関係から、こうした差が生じるのだと思われます。(9月26日追記:堺市の区間の事業主体は堺市、高石市の区間の事業主体は大阪府です。事業主体が異なるのは、都道府県、政令指定都市、特別区、人口20万人以上の都市を事業主体として実施すると決められた連続立体交差事業の細目を定めた要綱に基づいているからです。)
ちなみに南海本線の高架化工事も事業取得の遅れから延期が発表されており、その結果足掛け20数年の工事となることが決定しています。
南海電車を羽衣駅で降りて、歩いてすぐのJR東羽衣駅へ。阪和線の東羽衣支線で鳳へ出て、三国ヶ丘まで北上します。ここまでくれば会場がある中百舌鳥はすぐ近くです。南海高野線に乗り換えて会場最寄駅へ、と行きたいところですが逆方向へ一駅の堺東駅へ。
昨年12月にダイヤが変わり、新たに設定された「泉北ライナー」が堺東駅を通過するのを見るのが目的です(ダイヤ改正前は堺東駅を通過する列車はありませんでした)。その「泉北ライナー」を見届けてからいよいよ中百舌鳥へ向かいます。
本当はいずれの現場でも少しばかり歩きたかったのですが、紙に触れるイベント前に鞄が濡れてしまうと差し障りますので、列車内からの確認にとどめました。
◆閑話
会場へ向かう公共交通手段に乗っている際にいつも思うことなのですが、鞄、特にキャリーバッグを持っている人を見かけるつど、「この人はこれから同じイベントに出るのだろうか」と考えてしまいます。印刷会社の段ボールを載せたカートなんかはもう明らかにそうですよね。
堺筋線で段ボールカート持ちの人を何名か見かけたのですが、こちらの方々は堺筋本町で降りていきました。おそらくインテックス大阪で開催の『こみっく★トレジャー28』に参加するのだろうと、僕は勝手にそう思ってます。
◆足りないから足に頼る
会場には10時過ぎに到着し、蒸奇部員の人見氏と合流しました。このころには雨は小降りに落ち着いていました。秋雨らしいじわりとした降りかたです。
今回は文フリ大阪では初めての設営不参加でした。朝からあちこちに足を延ばしていたからですね。
ブース設営は人見氏に一日の長があるのでほぼ任せっきりです。ブースの形は5月に(人見氏が赴いた)東京と同じでいいと決めていましたので、手慣れたものでした。3月に僕が一人でやったテキレボのぐずぐず設営に比べると、手際の良さが段違いですね。僕は見本誌を置きに行ってぼんやり見ているだけです。
と、ここで『手向けの花は路地裏に』の冊数が事前の想定よりかなり少ないことが発覚しました。本来はWebカタログの「気になる!」クリック数+αと打ち合わせていたのですが、「気になる!」分しか搬入していないといいます。数に余裕がありません。
足りなくて人に行き渡らないよりは在庫をかかえて帰る方がいいでしょう、と人見氏に車を飛ばしてもらいます。氏のおかげで設営が30分足らずで終わったのが理由の一つではありますが、彼が車で会場と往復できる距離に住んでいなければできない決定です。東京開催で同じ状況が発生していたら涙を呑むしかなかったでしょう。
人見氏を送り出したあとは、顔見知りの方々への簡単なご挨拶も兼ねて開場前の場内を逍遥。
今年はホール外にまでブースが並んでいました。収まりきらないぐらいの出展申し込みがあったのでしょう。会場に入ってすぐ右手にあったチラシ置場はなくなり、お手洗いの前には仕切りが置かれて斜めから目に入らないようにしていました。会場が決まっている中で抽選を出さないような配置を実施した、大阪事務局の苦労がしのばれます。そう遠くない将来、容量の大きい場に移る日が来るのでしょう。
詰めた影響でホール内のブースも、島中から外に出る机と机の隙間がかなり狭くなっていました。細身の僕は隙間から出られるのですが、腹回りが出ている人見氏は移動のつど机をくぐっていました。可能な限り抽選を出さないという方針のようですが、こういうところは良し悪しですね。
◆功を奏した補充
「まいど」の儀ののち、11時ごろに開場。文学フリマで蒸奇の席に座るのは久しぶりです。(5月は都合つかず不参加。昨年は別サークルの売り子をするので会場にはいたのですが、蒸奇は不参加でした。)
最初に訪れた方が『身を尽くし~』を除いた既刊を即決で手に取ってくださいました。事前に頒価を記した頒布表を用意していたのですが、合計額を算出するのを忘れていて計算に手間取ります。幸先のいい捌けでしたが、手間が悪いことで時間を取らせてしまい、申し訳なく思っています。
お昼過ぎに人見氏が補充分を携えて帰陣。いや、これから戦うのだから戦線復帰というべきかもしれません。この時までに『手向け~』の最初の持ち込み分は残り2冊でした。最終的な頒布数は当初の持ち込み分を上回りましたので、補充を頼んだのは正解でした。
またこのころに『伝言言伝~』が全て捌けました。事前の残り冊数と最近の傾向から見て今日で捌けるのは予測がついていました(嬉しくない、というわけではないです)。編集の人見氏は手放しで喜んでいます。
午後はブースに足を運ぶ方も鈍りはじめます。ゆったりと時間が流れはじめたので、人見氏を先に巡回へ送り出しました。
◆尻を叩く
買い物から戻ってきた人見氏より蒸奇の世界設定についてあれこれうかがいました。あれもこれも書きたいという彼ですが、いま執筆している『蒸気人間事件』を書き上げないと構想のままで終わるぞ、と直言しました(そうしたことをずけずけ言う間柄です)。ときどきは外に宣しておかないから、いつも内々で延期延期で先送りを決めて、発刊が遅れるのだと思います。発足から何年かかっているのでしょうか。
僕は(現実の)華族制度や華族令嬢、女学校やヴィクトリア朝ロンドンについて最近学んだことを披露しました。蒸奇の世界設定を作るにしても、こうした部分は踏まえておかないといけないと思います。しかし彼は専門書をあまり読まないので、小説ではコバルト文庫の『英国マザーグース物語』(著・久賀理世)がいいよ、と勧めておきました。
テキレボ代表の御拗小太郎さんとは、ブースについていろいろお話しました。ブースコンテストを開催している文学フリマ大阪でうかがう内容は、いろいろと時宜を得たものでした。
◆閉場間際の動静を縫って行く
16時過ぎに巡回を開始。蒸奇の冊子は全て文学フリマ事務局に提出済みなので、見本誌を回収がてら散策します。文フリ大阪は昨年から開催時間が1時間延びて17時までとなっています。
ラストスパートという感じの人もいれば、一仕事やり遂げた感じの人もいる、そんな雰囲気が漂うなかを歩きます。サークルさんによっては仕舞い支度の最中に訪れる形になってしまい、かたじけなくも思うのですが、そろそろ閉幕という名残惜しいようなほっとするような空気を肌で感じながら歩くのが大好きなんです。
今年は早めに撤収しているサークルさんが多かったと感じました。
いつも楽しみにしているサークルさんの冊子は忘れず入手します。気に入ったサークルが継続して発行される冊子を手に入れるのは大きな楽しみですね。しかし巡回するサークルが固定化して、いつもそこだけ回るような状況になってしまうのも避けたいところです。新規開拓も欠かさないように鼻を利かせて行動します。むろん予算には制約があるのですが、その中で見繕う楽しさもあります。学生のころは予算に上限を設けず5~6万円ぐらいは平気でつぎ込んでいたのですが、今はそうもいきませんからね。
お気に入り枠として外せないのは【モラトリアムシェルタ】さんです。
こちらの作品はどれもすごい僕の肌に合っているんです。染み透るような言葉で紡がれる物語にいつも感嘆しています。言いたいことはツイッターで述べてしまっているので、直に簡単な感想だけ述べさせてもらい、新しい冊子を手に取りました。
短い時間の中で事前にチェックしていた【蒼穹機関】さんの冊子も逃さず入手。
『スチームパンク×サイバーパンクを題材にした長編小説』(Webカタログより引用)とのことですから、蒸奇的にはぜひ押さえておかないといけないでしょう、と。人見氏も入手していました。
実は最初に蒸奇のサークルを訪れられ、僕が釣り銭で手間取った方が、ここのサークル主さんでした(蒸奇のブースに訪れた際に名乗りを上げてくださいました)。スチームパンクに関するあれこれ(ジャンルの定義の難しさとか、最近の作品とか)をお話ししました。
京都であるスチームパンクのイベントについての情報も得られました。人見氏と行こうかなと考えています。
いつもお世話になっています青波さんの【シアワセモノマニア】さんへも訪問。
分厚いという秋の新刊(『XXXの仮想化輪廻』)の文字数を聞いて驚いたり、紙の本派なので絶対手に入れると宣言したり、とりとめない内容。あとアザラシとかペンギンとか。
僕の悪い癖なのですが、一回で話の内容が終わりきらず(後から後から「あ、これ伝えそびれてた」とか思い出す)、たびたび足を運んでしまい、その節はご迷惑をおかけしました。容量の悪い男ですいません。そんな男ですから、ペーパーをもらいそびれていたのに気づいたのも帰宅してからでした。
イベントで手にした本は積読群をいくらか読んだ後に手を付けますので、すぐに感想は言えません。ですが、いずれ必ずやツイッターで言いますよ(美味しいものや好きなものは最後まで取っておく人間なんです)。
◆撤収
17時閉会。撤収も人見氏が手早く済ませてくれました。ありがとうございます。蒸奇の方は椅子も机もひと段落ついたので、Text-Revolutions準備会さんのところへきっちりご挨拶にうかがいます。(終盤に巡回した時には他の方と話していらっしゃったので、後回しにしていました。)
蒸奇が春のテキレボで少しやらかしてしまった件に関して、テキレボ副代表の小泉哉女さんに深くお気づかいいただきました。テキレボのレポートでその件に触れていたのは、内罰的な自戒もあってのことでしたが、かえって申し訳ない気にさせてしまい、恐縮しきりです。とても強い励ましもいただきました。こんな場ではありますが、改めてお礼を申し上げます。
スチームパンクのアンソロ、やりたいなという気持ちは確かにありますので、メンバーが落ち着いたら前向きに推進させます。売り子の僕は気楽なものですけれどね。
開催時間が1時間延びた影響で、会場での懇親会はなくなりました。飲食の問題などがあり難しいのでしょうが、撤収後のだらけた空気が残った中で立食する緩い懇親会も好きだっただけに、残念に思っています。
このあと僕は場を移しての懇親会に出席するのですが、上がり症というか人見知りが激しい人見氏はそのまま帰還します。彼も参加をすればいいと思うのですが、無理に引きずり出しても悪い印象が残ってしまうので、あまり強くは言えません。参加すればいいと思うのですけれどね(二回目)。
◆18時開始では
懇親会は18時から開始との告知を見ていたのですが、結構時間が過ぎています。大丈夫なのだろうか、と思いながらも先導のスタッフがいるので会場入り口が見える位置をぶらついて時間を潰しました。それからしばらくした後に会場を出発して、そぼ降る雨の中、南海高野線の線路を越えて店へ向かいます。
店の前で、告知時刻からとっくに過ぎている開始時間について、スタッフと参加者との間でいくらかやり取りしているのを聞きました。18時から店で待っている方もいるとの話です。
個人的意見を申させていただくならば、18時開始と案内があった以上は、時間通りにやっておいたほうが良かったのではないでしょうか。遅れるにしてもその旨を、自力で店に来ている参加者に伝えたほうが良かったのではと感じます(店の負担もありますから、もちろんそこも考慮に入れておくべきでしょう)。
情報が伝わっていないことで、時間をめぐってのやり取りが生じたのですから。
店に入っても案内がなく、半ば放置された状態の団体がいましたので、そこだと当たりをつけて近寄ります。僕の他にも、どこに座っていいのか、本当に座っていいのかどうかと途方に暮れている方々がいました。ともかく空いている席に座りましょうということで、何名かの方を促して適当な席に腰を落ち着けます。
そこからも結構な時間が経ってから、事務局スタッフが到着されました。ご多忙なのも十分に察しあげますが、やはり開始が遅れる旨の告知があればよかったと思います。(懇親会が始まってからの話ですが、終電や夜行バスの時間の関係で、本来なら懇親会が終わっている時間に離脱していく方を見るのは心苦しいものがありました。当初の18時開始ならば最後まで参加できていたのでしょう。)
◆ためになる懇親会
そんなわけで遅れて始まりました。4人席に男3人です。放置されている状態から、たまたま空いている席に座った者同士、何かの縁と乾杯します。
向かいに座った方は、文学フリマ初参加ということでした。3人からなるサークルで鳥取から来られたとか。3人なのに1人で座っているのは僕たちが咄嗟に座ったときにそうなってしまったからです。親しい相手と切り離してしまい、悪いことをしてしまいました。
こうしたイベントの参加自体が初めてで、会場の空気に圧巻されたとおっしゃっていました。イベントは楽しめたとのことで、継続して参加したいとの旨を述べておられました。
僕の隣に座られた方も文学フリマには初参加で、一般参加として来場されたとのこと。財布がすごく軽くなったと言っていました。
大学院で人工知能の研究をしているとかで、なにかもうそれだけで僕からすれば雲の上の人のような感じです。スチームパンクもSFの範囲ですから、そういった観点から色々と興味深いお話をお伺いしました。
人工知能はつまるところ選択肢の多さと選択の速さによるもの(僕の意訳なので、正確には違っていたら申し訳ありません)だとか、人工知能が人格を持っていることについて無理に理屈をつけている作品は好みにあわないとか、本職の方だけに有意義なお話の数々でした。こう書くと小難しい方のような印象を与えてしまいそうですが、そんなことはなく爽やかな好青年でしたよ。
僕としては、そうした本職の方にも、なんとか呑みこめる(許容できる)ような嘘(理屈)をついて、納得してほしいなと思っているのですが、現実は厳しそうです。人工知能とスチームパンクは被ったり被らなかったりするのですが、いずれ納得できる嘘はつきたいと思っています。
他にも人と人工知能の比較からクオリアとか哲学的ゾンビとかの話も交わし、わくわくしました。(僕は俗にいう赤緑色覚異常なので、クオリア問題についてはいろいろ感ずるところがあるのです。)
この方は会場で文学フリマ大阪のスタッフの募集を見て、スタッフになろうかと決められたとのことですから、僕としてはまた来年にスタッフとなった彼と会えることを願っています。
ところでこの日は大きな失敗をしていました。懇親会で初対面の方のサークル名もしくはお名前を聞きそびれていたのです。加えてこちらも機を失してしまい、同人用の名刺をほとんどお渡しできませんでした。非常に悔やんでいます。というわけで同席したお二人の名前はついぞ知らないままとなってしまったのです。
4人席に3人で座って、ハマグリ(ですよねあれ?)が跳ねないように覆ったざるの、熱せられた鉄の部分を素手でつかんでしまって貝の代わりに飛び跳ねたおっさんが僕ですので、もし「あいつだ」と心当たりがありましたら、来年もよろしくお願いします。
うっかり触ってしまってから夜寝るまで肌のひりつきが収まりませんでしたが、最終的には大した水ぶくれにならず、ほっとしています。けして火起請をしたかったわけじゃないんです。
その後はサークル【兎角毒苺團】さんの伊織さんが席にお越しになられて話に花を咲かせました。お話しするのは初めてでしたが、蒸奇をご存知でして、前々から蒸奇の展示に思うところがあったとのことで、とてもためになる助言を多くいただきました。
蒸奇は黒い布で机を覆っているのですが、それだと蒸奇の本の表紙の暗さも相まって、本が沈んでしまうように見えるとのご意見は、目から鱗が落ちました。立体展開についての相談にものっていただきました。ありがとうございます。
展示の黒い布は、発足当初に「うちは黒っぽいから黒で」との流れで、ホームセンターで買った安物なんですよね。本が増えてきているので、立体展開については検討していたのですが、布を作品の表紙にあわせるという発想はありませんでした。具体的な色まであげてくださり、感謝しています。
それぞれの話の出所はまったく別ですが、いまにして思えば昼に御拗小太郎さんとブースについて話したのが伏線のようにも思えてきたりします。
翌日さっそくブース主幹の人見氏に報告し、色々と検討して来年から徐々に変えていこうという形になっています。
最後に告白一点。
コースの最後にアイスが出たのですが、このころにはみなさん席を移動していたり帰られた方がいたりで、席の上にアイスだけが放置されている状態になっていました。他の料理は置いていても後で食べられますけどアイスは溶けてしまいます。というか溶けはじめていました。なので僕は(断りを入れたうえで)アイスもらいました。10個ぐらい食べました、柚子アイスを。そういえば東京に行った時も毎日宿でアイス食べてました。普段は節制に努めているのですが、甘いの大好きなのでたまにたがが外れます。
◆うとうと二次会
難波へと場所を移して二次会でショットバーへ。店の場所的に御堂筋線よりも南海のほうが早かったかもしれませんね。
するめのラム酒焼きをごちそうになります。火をつけてアルコールを飛ばすのを目の前で見せてもらえるのですが、薄暗いバーの中できらめくように燃え上がる炎が壮美さが目に焼き付いています。するめは風味よく噛みごたえもあり、ついつい手が伸びてしまう味でした。
ところでこのころには朝が早かったのでかなり眠くなっていて、あまりしっかりしてませんでした。ただ、駅名や地名が出るたびに耳ざとく聞きつけていたのは覚えています(趣味なので)。
ふと気づけば終電が迫っており、慌てて帰路につきました。そのせいでお別れのご挨拶が疎かになってしまったのが心残りです。
この日は全体的に、しっかりお別れの挨拶をしそびれたままでした。終わりよければ全てよしともいいますので、次は終わりをしっかり飾れるようにしたいものです。
(文責:シワ)
参加した二人(人見広介、シワ)に寄せてもらいましたので、例によって公開いたします。
2016年9月18日、日曜日
『第四回文学フリマ大阪』参加のため、サークル入場となる10時半ごろの到着を心掛けて早めに出発する。
大阪での開催ということもあり、当日の朝にゆるゆる出発しても十分に間に合う。そう思いながら参加した過去数回は、渋滞に巻き込まれたせいで遅刻したことが何度かあったので、余裕を持って出発を早めた。幸い渋滞には幸い巻き込まれなかった。が、代わりに道を間違うという痛恨のミスを犯す。前にも道を間違えたが、二年ぶりなのでしかたない。
もっとも余裕を持って出発したおかげで、サークル入場までには現場に到着できた。大箱を抱えて入場。
10時過ぎにやってきた売り子とも合流して設営を開始する。(島の真ん中なので)机の下を通路側と内側を何度もくぐっての作業だ。これまでよりサークル数が増えたためか以前より机の合間が狭まった気がする。それともお腹が出ただけか。
5月の東京文フリでの配置がしっくり来ていたので、それを再現するように設営しているさなか、一部の冊子の部数が見込みより足りないのではないかとの疑いが発生。数えてみると確かに少し心もとないかもしれない。
在庫管理は私の担当だ。車を飛ばせば昼過ぎには会場に戻って来られる。「ちょっと取ってくる!」と鍵をひっつかみ行動開始。大阪開催の場合、こういうところは楽でいいなと思う。
12時過ぎに会場へ舞い戻る。最終的に冊子は当初の持込みよりも売れたので、取りに行って良かったと胸をなでおろした。
会場で足を止めてくださる方がいる度に嬉しくなってにこにこ顔。
売り子と蒸奇都市倶楽部の世界観の軍事、歴史、政治の話を飛び飛びしながら、今後の作品展開や展望についてやり取りする。海外勢力の暗躍や戦記物、軍事スリラー的な作品も書きたいと思っているので、執筆意欲がみなぎる楽しい時間となった。
メンバーと時間をずらして見て回る。
売り子に教えられていた、同じスチームパンクもの(+サイバーパンク)を書かれているというサークルさんへ真っ先に向かう。そのあともいくつかの本を入手。今回はミステリものばかり。
会場では大学時代に所属していたサークルの後輩たちが独自にサークルを立ち上げて参加しているのに遭遇。学内で見かけた顔もあったりして懐かしい気分に。
今回は(設営から再合流まで数時間ほどいなかったせいか)あっという間に終わってしまったなと思う。5月の東京は一人での参加であったが、今回は二人ということもあって非常に楽しいイベント時間でありました。
新刊がないか見にきてくださった方、初めての来訪でご購入くださった方もたくさんいて、非常に充実した時間を味わえました。
お越しいただいた皆様に改めて感謝を申し上げます。
(文責:人見広介)
イベント関係七割その他三割くらいの要領を得ない長ったらしい内容ですので、最初に雑感とその他関係のある事柄だけ並べておきます。さっと読むならここだけでいいんじゃないでしょうか。
◆雑感
朝から晩まで降ったり止んだりの天気でありましたが、蒸奇に限って言えば客足に雨の影響はほとんど見られませんでした。そのため冊子の捌け具合も従前からの水準通りです。
訪れる人になんと話していいのかはいつも迷います。多分これからも迷い続けるでしょう。
冊子を手に取っている間に話しかけられても困るでしょうから、その間はじろじろ見ないようにしています。
なにか言葉を交わせたらな、との思いはいつも胸にあるのですが難しいものですね。思い返せば「(冊子を)読んでもし気に入ってもらえましたら、次も来てくださいね」ぐらいしか言っていません。お金をやり取りする際とかに、もう少し気の利いたことが言えるように努力します。
もし作品を読んで気に入っていただけて、二度目以降の訪問をされる方は、こちらに感想を伝えてくださるとすごく嬉しくなりますよ。作品についての突っ込んだお話とか、スチームパンクについてとかも大歓迎です。また機会ありましたら、ぜひにお願いします。(こちらの学の浅さも露呈しそうで怖いですが。)
◆頒布具合
の話を書こうとするといつも広報主幹に止められます(今回も止められました)ので、視点を変えて人数の話をします。(具体的な数を書くと合計額がわかってしまいますから、税務署対策でしょう。というのは冗談ですが、お金は繊細な部分ですから仕方ないのですけれどもね。)
蒸奇のブースでは、開場後直後から昼過ぎぐらいまでに最も人が訪れる傾向があります。これは蒸奇が最初に出展したときから変わっていません。
他サークル様の傾向は存じ上げませんが、過去の打ち上げなどでうかがった範囲ですと、やはり開場直後にいちばん人が来るところが多いようです。開場直後に訪れてくださるのは、固定の方か、期待してくれている方なのかな、と推測しています。
具体的な数で申せば、今回は11時から12時までの間に7人、12時から13時までの間に14人がいずれかの冊子をお求めになられました。13時以降では5人を上回らず、最終的に33人の手元に蒸気の本が渡ったことになります。上でも書きましたが、他のイベントと同じぐらいの方に手に取ってもらえましたので、雨の影響はなかったとみています。(ここでいう訪問者数は、冊子を求めてくださった方の数です。)
また文学フリマにおける蒸奇と宣伝の関係についてですが、頒布数と事前告知の頻度との相関はあまりないようです。広報主幹が多忙なため事前の告知は最低限(WebカタログとブログをTwitterで流すだけ)でありましたが、頒布数は大きく変動していませんので、そう考えている次第です。現地で配るペーパーやチラシも、予算圧縮の関係で今回は用意しませんでした。
しかし今回は既刊ばかりとはいえ、大阪では初頒布の冊子もありました。毎回同じ条件で頒布しているわけではありませんから、関連づけていいのかどうかはまだまだ不明です。
今後も集計を継続して、情報の蓄積と分析を図っていきます。
◆『言伝は時計にのせて』
ところですでに広報主幹がTwitterで速報し、ブログで報告していますが(このあとの本文中にも書いています)、『言伝は時計にのせて』が完全に捌けました。
在庫がなくなるのは『蒸奇都市倶楽部報』の第一巻と第二巻以来です。『言伝~』初出は2014年11月23日の『COMITIA110』ですから、1年10カ月ほどでさばききったことになりますね。発行部数がいくらなのかは聞き及んでいないのですが、わりに速いペースなんじゃないかと思っています。
『言伝~』はあちこちで感想をいただいていましたし、広報主幹が言うには最初の取っ掛かりとしてお勧めしやすいというので一時期は増刷も検討したのですが、在庫管理と補完場所の関係から見送りとなりました。
よほどの反響と希望の声がない限り、今後は初版の売り切りでやっていくんじゃないでしょうか。
今後しばらくは『手向けの花は路地裏に』が、お勧めとして推されていくことになろうと思われます。
在庫といえば、『地底の大機関』は増版していますので、まだ結構残っているようです。『蒸奇画報』も多く刷ったと聞いていますので、多く残っています。そういえばこの二冊(『地底』第二版、『画報』)は二年前の『第二回文学フリマ大阪』が初出でした。
◆気になるボタン
テキレボの時と同じことを書きますが、「気になる」ボタンは素直に信じていいようです。しかしどの冊子について押されたのかはわからないので、冊子ごとの持ち込みはやはり見極めが必要になってきますね。
今回このボタン数に応じた持ち込みについてもちょっとした話がありまして、それは本文で触れています。
◆総括
新刊がなかったという点を差し引いても、頒布数はよかったと思います。
とはいえイベントが終われば頒布数よりも、冊子を手にした方がどれだけ楽しめるかが重要になってきます。
『手向け~』は分厚い本ですが、ページをめくる手が止まらない状態になってくれることを願っています。
あなたの手に委ねられた蒸奇の冊子はあなたのものです。どうか心行くまでお好きに扱ってください。
もちろん楽しい作品を送り出せるよう、蒸奇は今後も研鑽して参りますし、そうさせます。
まあ、売り子の戯言なんですが。
※以下は一日の流れに沿ったレポートです。だらだら綴っているので、興味がある人だけ読んでください。
◆高架工事は大事業
(※イベントと関係ない部分。この項目は文学フリマの「ぶ」の字もありません)
早朝時点での雨足がかなり激しい大阪。一日屋内にいるのでなければお出かけを避けたいぐらいの降り具合です。
が、僕は会場到着を10時と見込んだ場合の出発時刻より3時間ほど早く宿を出ました。雨で列車の運転見合わせを織りこんだからではありません。遠出にあたって見ておきたい箇所がいくつかあったからです。
というわけで今般、阪急の淡路駅高架化工事(『阪急電鉄京都線・千里線連続立体交差事』)と、南海の高架化工事(『南海本線連続立体交差事業(堺市)』『南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業』)の進行具合を確認すべく、篠突く雨のなか出発です。
最初に足を運ぶ淡路駅は路線がX字に交差する駅なので、一度の通過で全ての現場を確認できません。そこで梅田から阪急京都線で京都方面へ向けて乗り、次に淡路まで折り返してから千里線で千里方面へ向かいます。最後に天神橋筋六丁目(天六)方面へ抜けながら状況をつぶさに観察し、目に焼きつけます。
一部の線路は仮線に置き換えられていました。分厚い橋脚も以前の訪問時よりも増えています。
久しぶりに足を運んだ印象で言いますと、かなり工事が進んでいるように見えるのですが、実際には事業用地の取得に遅れが出ているとのことで、昨年の10月に事業主体である大阪市より計画延期の発表がありました。
大阪市の発表によりますと、線路の高架切替が「2017年度末から2024年度末」へ、事業の完成が「2020年度末から2027年度末」にそれぞれ延期されるとのことです。
そもそもこの都市計画事業の認可が平成9年1月24日ですから、動きだしてからすでに19年。事業計画も含めると20年以上前です。品川~名古屋間のリニアが完成するころに高架事業が終わると考えれば、その時間的長さが感覚的につかめるでしょうか。都市部の立体交差事業は非常に年数がかかる工事でして、10年の遅れは珍しいものではありません。(関東ですと、大詰めを迎えている小田急電鉄の複々線工事、地下化工事も区間によって違いはあるものの、ゆうに10年以上はやっていますね。)
淡路駅の高架化工事は、一部の工区で直上高架方式が採用されるので今後も目が離せません。
天六からそのまま堺筋線を乗り通して終点の天下茶屋へ。
天下茶屋は秀吉由来の地名ですね。仇討ちの場所でもあります。東の高田馬場に西の天下茶屋(と実際に言うのかどうかはしりませんが)。もっとも仇討ちの有名どころ、富士の裾野、吉良邸、鍵屋の辻には敵わないかもしれません。
天下茶屋で南海本線に乗り換えて南下します。堺市の浜寺公園駅から数駅が南海本線で高架化工事を行っている箇所です。浜寺公園駅は私鉄最古の駅舎とされており、また辰野金吾の設計としても知られています。この駅舎は高架化後も保存活用されますので、近くに立ち寄った際には足を運んでみるといいかもしれません。
浜寺公園は天王寺と恵美須町まで阪堺電車も通じていますので、往復の行程にも変化をつけられますよ。ちなみに最古つながりでいえば、浜寺公園は最古の公立公園だそうです。今ネットで見るまで知りませんでした。
仮駅舎に切り替えられた浜寺公園駅は、周辺には囲いが立つなどして工事が進められています。浜寺公園駅を出てすぐに高石市に入ります。市境を超えると下り線は高架を駆け上がり羽衣駅へ。そのまま高石駅を経て、泉大津市にある北助松駅の手前で再び地上へ降ります。この下り線は去る5月14日に完成したもので、工事は続いて下り線の仮線撤去、上り高架線の建設へと移っていきます。現行の上り線は仮線のままで、こちらは前に見たままでした。
堺市と高石市の高架化工事は市境を境に差がありますが、これは立体交差事業の多くは当該区間の自治体が事業主体となる関係から、こうした差が生じるのだと思われます。(9月26日追記:堺市の区間の事業主体は堺市、高石市の区間の事業主体は大阪府です。事業主体が異なるのは、都道府県、政令指定都市、特別区、人口20万人以上の都市を事業主体として実施すると決められた連続立体交差事業の細目を定めた要綱に基づいているからです。)
ちなみに南海本線の高架化工事も事業取得の遅れから延期が発表されており、その結果足掛け20数年の工事となることが決定しています。
南海電車を羽衣駅で降りて、歩いてすぐのJR東羽衣駅へ。阪和線の東羽衣支線で鳳へ出て、三国ヶ丘まで北上します。ここまでくれば会場がある中百舌鳥はすぐ近くです。南海高野線に乗り換えて会場最寄駅へ、と行きたいところですが逆方向へ一駅の堺東駅へ。
昨年12月にダイヤが変わり、新たに設定された「泉北ライナー」が堺東駅を通過するのを見るのが目的です(ダイヤ改正前は堺東駅を通過する列車はありませんでした)。その「泉北ライナー」を見届けてからいよいよ中百舌鳥へ向かいます。
本当はいずれの現場でも少しばかり歩きたかったのですが、紙に触れるイベント前に鞄が濡れてしまうと差し障りますので、列車内からの確認にとどめました。
◆閑話
会場へ向かう公共交通手段に乗っている際にいつも思うことなのですが、鞄、特にキャリーバッグを持っている人を見かけるつど、「この人はこれから同じイベントに出るのだろうか」と考えてしまいます。印刷会社の段ボールを載せたカートなんかはもう明らかにそうですよね。
堺筋線で段ボールカート持ちの人を何名か見かけたのですが、こちらの方々は堺筋本町で降りていきました。おそらくインテックス大阪で開催の『こみっく★トレジャー28』に参加するのだろうと、僕は勝手にそう思ってます。
◆足りないから足に頼る
会場には10時過ぎに到着し、蒸奇部員の人見氏と合流しました。このころには雨は小降りに落ち着いていました。秋雨らしいじわりとした降りかたです。
今回は文フリ大阪では初めての設営不参加でした。朝からあちこちに足を延ばしていたからですね。
ブース設営は人見氏に一日の長があるのでほぼ任せっきりです。ブースの形は5月に(人見氏が赴いた)東京と同じでいいと決めていましたので、手慣れたものでした。3月に僕が一人でやったテキレボのぐずぐず設営に比べると、手際の良さが段違いですね。僕は見本誌を置きに行ってぼんやり見ているだけです。
と、ここで『手向けの花は路地裏に』の冊数が事前の想定よりかなり少ないことが発覚しました。本来はWebカタログの「気になる!」クリック数+αと打ち合わせていたのですが、「気になる!」分しか搬入していないといいます。数に余裕がありません。
足りなくて人に行き渡らないよりは在庫をかかえて帰る方がいいでしょう、と人見氏に車を飛ばしてもらいます。氏のおかげで設営が30分足らずで終わったのが理由の一つではありますが、彼が車で会場と往復できる距離に住んでいなければできない決定です。東京開催で同じ状況が発生していたら涙を呑むしかなかったでしょう。
人見氏を送り出したあとは、顔見知りの方々への簡単なご挨拶も兼ねて開場前の場内を逍遥。
今年はホール外にまでブースが並んでいました。収まりきらないぐらいの出展申し込みがあったのでしょう。会場に入ってすぐ右手にあったチラシ置場はなくなり、お手洗いの前には仕切りが置かれて斜めから目に入らないようにしていました。会場が決まっている中で抽選を出さないような配置を実施した、大阪事務局の苦労がしのばれます。そう遠くない将来、容量の大きい場に移る日が来るのでしょう。
詰めた影響でホール内のブースも、島中から外に出る机と机の隙間がかなり狭くなっていました。細身の僕は隙間から出られるのですが、腹回りが出ている人見氏は移動のつど机をくぐっていました。可能な限り抽選を出さないという方針のようですが、こういうところは良し悪しですね。
◆功を奏した補充
「まいど」の儀ののち、11時ごろに開場。文学フリマで蒸奇の席に座るのは久しぶりです。(5月は都合つかず不参加。昨年は別サークルの売り子をするので会場にはいたのですが、蒸奇は不参加でした。)
最初に訪れた方が『身を尽くし~』を除いた既刊を即決で手に取ってくださいました。事前に頒価を記した頒布表を用意していたのですが、合計額を算出するのを忘れていて計算に手間取ります。幸先のいい捌けでしたが、手間が悪いことで時間を取らせてしまい、申し訳なく思っています。
お昼過ぎに人見氏が補充分を携えて帰陣。いや、これから戦うのだから戦線復帰というべきかもしれません。この時までに『手向け~』の最初の持ち込み分は残り2冊でした。最終的な頒布数は当初の持ち込み分を上回りましたので、補充を頼んだのは正解でした。
またこのころに『
午後はブースに足を運ぶ方も鈍りはじめます。ゆったりと時間が流れはじめたので、人見氏を先に巡回へ送り出しました。
◆尻を叩く
買い物から戻ってきた人見氏より蒸奇の世界設定についてあれこれうかがいました。あれもこれも書きたいという彼ですが、いま執筆している『蒸気人間事件』を書き上げないと構想のままで終わるぞ、と直言しました(そうしたことをずけずけ言う間柄です)。ときどきは外に宣しておかないから、いつも内々で延期延期で先送りを決めて、発刊が遅れるのだと思います。発足から何年かかっているのでしょうか。
僕は(現実の)華族制度や華族令嬢、女学校やヴィクトリア朝ロンドンについて最近学んだことを披露しました。蒸奇の世界設定を作るにしても、こうした部分は踏まえておかないといけないと思います。しかし彼は専門書をあまり読まないので、小説ではコバルト文庫の『英国マザーグース物語』(著・久賀理世)がいいよ、と勧めておきました。
テキレボ代表の御拗小太郎さんとは、ブースについていろいろお話しました。ブースコンテストを開催している文学フリマ大阪でうかがう内容は、いろいろと時宜を得たものでした。
◆閉場間際の動静を縫って行く
16時過ぎに巡回を開始。蒸奇の冊子は全て文学フリマ事務局に提出済みなので、見本誌を回収がてら散策します。文フリ大阪は昨年から開催時間が1時間延びて17時までとなっています。
ラストスパートという感じの人もいれば、一仕事やり遂げた感じの人もいる、そんな雰囲気が漂うなかを歩きます。サークルさんによっては仕舞い支度の最中に訪れる形になってしまい、かたじけなくも思うのですが、そろそろ閉幕という名残惜しいようなほっとするような空気を肌で感じながら歩くのが大好きなんです。
今年は早めに撤収しているサークルさんが多かったと感じました。
いつも楽しみにしているサークルさんの冊子は忘れず入手します。気に入ったサークルが継続して発行される冊子を手に入れるのは大きな楽しみですね。しかし巡回するサークルが固定化して、いつもそこだけ回るような状況になってしまうのも避けたいところです。新規開拓も欠かさないように鼻を利かせて行動します。むろん予算には制約があるのですが、その中で見繕う楽しさもあります。学生のころは予算に上限を設けず5~6万円ぐらいは平気でつぎ込んでいたのですが、今はそうもいきませんからね。
お気に入り枠として外せないのは【モラトリアムシェルタ】さんです。
こちらの作品はどれもすごい僕の肌に合っているんです。染み透るような言葉で紡がれる物語にいつも感嘆しています。言いたいことはツイッターで述べてしまっているので、直に簡単な感想だけ述べさせてもらい、新しい冊子を手に取りました。
短い時間の中で事前にチェックしていた【蒼穹機関】さんの冊子も逃さず入手。
『スチームパンク×サイバーパンクを題材にした長編小説』(Webカタログより引用)とのことですから、蒸奇的にはぜひ押さえておかないといけないでしょう、と。人見氏も入手していました。
実は最初に蒸奇のサークルを訪れられ、僕が釣り銭で手間取った方が、ここのサークル主さんでした(蒸奇のブースに訪れた際に名乗りを上げてくださいました)。スチームパンクに関するあれこれ(ジャンルの定義の難しさとか、最近の作品とか)をお話ししました。
京都であるスチームパンクのイベントについての情報も得られました。人見氏と行こうかなと考えています。
いつもお世話になっています青波さんの【シアワセモノマニア】さんへも訪問。
分厚いという秋の新刊(『XXXの仮想化輪廻』)の文字数を聞いて驚いたり、紙の本派なので絶対手に入れると宣言したり、とりとめない内容。あとアザラシとかペンギンとか。
僕の悪い癖なのですが、一回で話の内容が終わりきらず(後から後から「あ、これ伝えそびれてた」とか思い出す)、たびたび足を運んでしまい、その節はご迷惑をおかけしました。容量の悪い男ですいません。そんな男ですから、ペーパーをもらいそびれていたのに気づいたのも帰宅してからでした。
イベントで手にした本は積読群をいくらか読んだ後に手を付けますので、すぐに感想は言えません。ですが、いずれ必ずやツイッターで言いますよ(美味しいものや好きなものは最後まで取っておく人間なんです)。
◆撤収
17時閉会。撤収も人見氏が手早く済ませてくれました。ありがとうございます。蒸奇の方は椅子も机もひと段落ついたので、Text-Revolutions準備会さんのところへきっちりご挨拶にうかがいます。(終盤に巡回した時には他の方と話していらっしゃったので、後回しにしていました。)
蒸奇が春のテキレボで少しやらかしてしまった件に関して、テキレボ副代表の小泉哉女さんに深くお気づかいいただきました。テキレボのレポートでその件に触れていたのは、内罰的な自戒もあってのことでしたが、かえって申し訳ない気にさせてしまい、恐縮しきりです。とても強い励ましもいただきました。こんな場ではありますが、改めてお礼を申し上げます。
スチームパンクのアンソロ、やりたいなという気持ちは確かにありますので、メンバーが落ち着いたら前向きに推進させます。売り子の僕は気楽なものですけれどね。
開催時間が1時間延びた影響で、会場での懇親会はなくなりました。飲食の問題などがあり難しいのでしょうが、撤収後のだらけた空気が残った中で立食する緩い懇親会も好きだっただけに、残念に思っています。
このあと僕は場を移しての懇親会に出席するのですが、上がり症というか人見知りが激しい人見氏はそのまま帰還します。彼も参加をすればいいと思うのですが、無理に引きずり出しても悪い印象が残ってしまうので、あまり強くは言えません。参加すればいいと思うのですけれどね(二回目)。
◆18時開始では
懇親会は18時から開始との告知を見ていたのですが、結構時間が過ぎています。大丈夫なのだろうか、と思いながらも先導のスタッフがいるので会場入り口が見える位置をぶらついて時間を潰しました。それからしばらくした後に会場を出発して、そぼ降る雨の中、南海高野線の線路を越えて店へ向かいます。
店の前で、告知時刻からとっくに過ぎている開始時間について、スタッフと参加者との間でいくらかやり取りしているのを聞きました。18時から店で待っている方もいるとの話です。
個人的意見を申させていただくならば、18時開始と案内があった以上は、時間通りにやっておいたほうが良かったのではないでしょうか。遅れるにしてもその旨を、自力で店に来ている参加者に伝えたほうが良かったのではと感じます(店の負担もありますから、もちろんそこも考慮に入れておくべきでしょう)。
情報が伝わっていないことで、時間をめぐってのやり取りが生じたのですから。
店に入っても案内がなく、半ば放置された状態の団体がいましたので、そこだと当たりをつけて近寄ります。僕の他にも、どこに座っていいのか、本当に座っていいのかどうかと途方に暮れている方々がいました。ともかく空いている席に座りましょうということで、何名かの方を促して適当な席に腰を落ち着けます。
そこからも結構な時間が経ってから、事務局スタッフが到着されました。ご多忙なのも十分に察しあげますが、やはり開始が遅れる旨の告知があればよかったと思います。(懇親会が始まってからの話ですが、終電や夜行バスの時間の関係で、本来なら懇親会が終わっている時間に離脱していく方を見るのは心苦しいものがありました。当初の18時開始ならば最後まで参加できていたのでしょう。)
◆ためになる懇親会
そんなわけで遅れて始まりました。4人席に男3人です。放置されている状態から、たまたま空いている席に座った者同士、何かの縁と乾杯します。
向かいに座った方は、文学フリマ初参加ということでした。3人からなるサークルで鳥取から来られたとか。3人なのに1人で座っているのは僕たちが咄嗟に座ったときにそうなってしまったからです。親しい相手と切り離してしまい、悪いことをしてしまいました。
こうしたイベントの参加自体が初めてで、会場の空気に圧巻されたとおっしゃっていました。イベントは楽しめたとのことで、継続して参加したいとの旨を述べておられました。
僕の隣に座られた方も文学フリマには初参加で、一般参加として来場されたとのこと。財布がすごく軽くなったと言っていました。
大学院で人工知能の研究をしているとかで、なにかもうそれだけで僕からすれば雲の上の人のような感じです。スチームパンクもSFの範囲ですから、そういった観点から色々と興味深いお話をお伺いしました。
人工知能はつまるところ選択肢の多さと選択の速さによるもの(僕の意訳なので、正確には違っていたら申し訳ありません)だとか、人工知能が人格を持っていることについて無理に理屈をつけている作品は好みにあわないとか、本職の方だけに有意義なお話の数々でした。こう書くと小難しい方のような印象を与えてしまいそうですが、そんなことはなく爽やかな好青年でしたよ。
僕としては、そうした本職の方にも、なんとか呑みこめる(許容できる)ような嘘(理屈)をついて、納得してほしいなと思っているのですが、現実は厳しそうです。人工知能とスチームパンクは被ったり被らなかったりするのですが、いずれ納得できる嘘はつきたいと思っています。
他にも人と人工知能の比較からクオリアとか哲学的ゾンビとかの話も交わし、わくわくしました。(僕は俗にいう赤緑色覚異常なので、クオリア問題についてはいろいろ感ずるところがあるのです。)
この方は会場で文学フリマ大阪のスタッフの募集を見て、スタッフになろうかと決められたとのことですから、僕としてはまた来年にスタッフとなった彼と会えることを願っています。
ところでこの日は大きな失敗をしていました。懇親会で初対面の方のサークル名もしくはお名前を聞きそびれていたのです。加えてこちらも機を失してしまい、同人用の名刺をほとんどお渡しできませんでした。非常に悔やんでいます。というわけで同席したお二人の名前はついぞ知らないままとなってしまったのです。
4人席に3人で座って、ハマグリ(ですよねあれ?)が跳ねないように覆ったざるの、熱せられた鉄の部分を素手でつかんでしまって貝の代わりに飛び跳ねたおっさんが僕ですので、もし「あいつだ」と心当たりがありましたら、来年もよろしくお願いします。
うっかり触ってしまってから夜寝るまで肌のひりつきが収まりませんでしたが、最終的には大した水ぶくれにならず、ほっとしています。けして火起請をしたかったわけじゃないんです。
その後はサークル【兎角毒苺團】さんの伊織さんが席にお越しになられて話に花を咲かせました。お話しするのは初めてでしたが、蒸奇をご存知でして、前々から蒸奇の展示に思うところがあったとのことで、とてもためになる助言を多くいただきました。
蒸奇は黒い布で机を覆っているのですが、それだと蒸奇の本の表紙の暗さも相まって、本が沈んでしまうように見えるとのご意見は、目から鱗が落ちました。立体展開についての相談にものっていただきました。ありがとうございます。
展示の黒い布は、発足当初に「うちは黒っぽいから黒で」との流れで、ホームセンターで買った安物なんですよね。本が増えてきているので、立体展開については検討していたのですが、布を作品の表紙にあわせるという発想はありませんでした。具体的な色まであげてくださり、感謝しています。
それぞれの話の出所はまったく別ですが、いまにして思えば昼に御拗小太郎さんとブースについて話したのが伏線のようにも思えてきたりします。
翌日さっそくブース主幹の人見氏に報告し、色々と検討して来年から徐々に変えていこうという形になっています。
最後に告白一点。
コースの最後にアイスが出たのですが、このころにはみなさん席を移動していたり帰られた方がいたりで、席の上にアイスだけが放置されている状態になっていました。他の料理は置いていても後で食べられますけどアイスは溶けてしまいます。というか溶けはじめていました。なので僕は(断りを入れたうえで)アイスもらいました。10個ぐらい食べました、柚子アイスを。そういえば東京に行った時も毎日宿でアイス食べてました。普段は節制に努めているのですが、甘いの大好きなのでたまにたがが外れます。
◆うとうと二次会
難波へと場所を移して二次会でショットバーへ。店の場所的に御堂筋線よりも南海のほうが早かったかもしれませんね。
するめのラム酒焼きをごちそうになります。火をつけてアルコールを飛ばすのを目の前で見せてもらえるのですが、薄暗いバーの中できらめくように燃え上がる炎が壮美さが目に焼き付いています。するめは風味よく噛みごたえもあり、ついつい手が伸びてしまう味でした。
ところでこのころには朝が早かったのでかなり眠くなっていて、あまりしっかりしてませんでした。ただ、駅名や地名が出るたびに耳ざとく聞きつけていたのは覚えています(趣味なので)。
ふと気づけば終電が迫っており、慌てて帰路につきました。そのせいでお別れのご挨拶が疎かになってしまったのが心残りです。
この日は全体的に、しっかりお別れの挨拶をしそびれたままでした。終わりよければ全てよしともいいますので、次は終わりをしっかり飾れるようにしたいものです。
(文責:シワ)